もうGood Morning

好きな映画、音楽について

ベストアルバム2016 (後編)

前半は こちら

 

それでは5枚目から続きを紹介。


5. LILI LIMIT「a.k.a」

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このレビューを以下に載せていただきました。

(アルバムはランキング82位)

ongakudaisukiclub.hateblo.jp


自分の書いた内容を上記サイトから引用掲載。

「ぷらナタ」でバンドがわたきゅう(私を構成する9枚)を挙げていた時、Bloc PartyやThe 1975、Galileo Galileiが入っているのを見て「なるほど!!」と思った。ギターも打ち込みも声もバランス良く、シンプルなシルエットで風通しの良い洗練された音になっている理由が分かった。そういう音楽的指向を背景にして、キッチンとか部屋とか、よく馴染んだ日常の中でポートレートを美しく切り出したような音楽が鳴っている。日々が肯定される、確かな暖かさをくれるアルバムだ。

ちなみにこのバンドには、イノセントな声でわたし目線の歌を歌い上げるダンディーなボーカルと、後ろ姿は女子なギタリストと、キレイなベーシストと超チャーミングなキーボーディストと年上のドラマーがいる。見ていてとっても楽しい。

メンバーそれぞれのキャラが立っていて、とてもいいバンドだと思う。 

 


6. D.A.N「D.A.N」

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このレビューを以下に載せていただきました。
(アルバムはランキング8位)

ongakudaisukiclub.hateblo.jp


自分の書いた内容を上記サイトから引用掲載。

足元を揺らす波に浸っていたら心地良くて、いつの間にか胸元まで水が満ちてきていた。ひやりとした透明な水に柔らかく抱擁されていた。そのまま、たゆたっていたいと願った。

ループするフレーズのアイデアを元にダンサブルなグルーブをイチから立ち上げてゆき、じわじわと大きな渦を作り出していくD.A.Nの音楽は、僕をそんな体験へと誘ってくれた。アルバム序盤の曲が、徐々にBPMを上げて行くように配置されているのがとてもニクい。

短い時間に目まぐるしく展開を詰め込んだり、フェスで乗れるように速いテンポで4つ打ちを繰り出したりするトレンドが、過去のものとして決定的に相対化された気がした。

 


7.  Porter Robinson & Madeon「Shelter」

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ポーター・ロビンソンがディレクターを務めたオリジナルアニメのテーマ曲。

 

www.youtube.com

 

物語自体はとても悲しいけど、春の木漏れ日のような暖かさをが機械の中に宿っているような様を見事に描いたキュンキュンする曲だ。

2017年に入ってから、w-inds.橘慶太さんがアルバム「INVISIBLE」収録の製作過程でボーカルドロップのエフェクトに影響を受けたと語っていたり、東京女子流predawn」の音像・雰囲気がこの曲に通じてたりしていた。後から振り返ったときにはこの「Shelter」が、J-POPの転換点において重要な参照点になっているかもしれない。


8. a flood of circle「BLUE」

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映像作品「THE BLUE MOVIE - 青く塗れ! - 2016.06.04 Live at 新木場STUDIO COAST」のボーナスディスクに収録されている曲。同時期に配信でもリリースされた。


バンドがデビュー10周年の節目を迎えた2016年。
過去を振り返るのではなく、新しい一歩を踏み出し続けたいという熱い思いで生まれた大名曲。

AFOCはメンバーの失踪・脱退を経験し、順風満帆には程遠い険しい道をずっとずっとずっとずっと転がってきた。それでも、それでも佐々木さん(Gt, vo)は立ち止まらずに曲を書き、ライブを演り、音楽を届け続けている。

そんなバンドだからこそ憂鬱のブルーを超えて、未完成で青いままの自分たちが持っている可能性の先へ行きたいという真っ直ぐな情熱がダイレクトに歌われている。

ロンドンでのレコーディングに挑むことで生じた環境・心境の変化が、風通しの良い爽やかなギターの音に反映されているのが良いと思う。開放感のあるサウンドのおかげで真面目な歌詞の堅苦い印象が緩和され、むしろ熱を帯びた切なさが良く伝わってくる。

 AFOCはベスト盤のタイトルが「THE BLUE」だったり、「青く塗れ」という曲をリリースしていたり、そしてこの曲「BLUE」があり、青色に強くこだわっている。

そこには自分たちが

  • 成熟/大成しきっていないこと
  • 青春の只中にいること (= 心が若い状態であること)
  • ブルースをルーツとしてきたこと

を込めていると佐々木さんはラジオやインタビューで語っていた。
そこに付け加えることが1つある。赤い炎よりも熱いのが、青い炎だ。
どこまで熱く走り続けていってほしい。



9. Armin Van Buuren「Sail」

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これだけは過去の作品。2006年リリース。
ULTRA JAPAN 2015でヘッドライナーの1人を務めた、Armin Van Buurenによるトランスの曲。

2016年になってこの曲を知ったのは、Twitterで「わたしを構成する9枚」ハッシュタグが盛り上がってたのがきっかけ。1月頃、写真が趣味な先輩がこの「Sail」を挙げていた。Arminの名前は聞いたことあったけど曲まではあまり知らなくて、これから聴いてみようとなった。

もともとトランスというジャンル自体が好きだった。今の主流のダンスミュージックよりもBPMが早くてシンセの音も派手で、躁状態のトリップ感をガンガン味わえる。Ferry Corstenやglobeのトランスリミックス盤をすごく気に入って聴いてた。

この「Sail」はそんなに派手ではないインストゥルメンタルトラックだけど、1パターンのコード進行を繰り返す中でドラマチックな高揚感に浸らせてくれる、9分間があっという間に過ぎる曲。

タイトルの通り大海原のド真ん中にいるようなイメージの曲なんだけど、視界一面に青空と海しか無いような茫漠とした場所に、たった1人で小舟で放り出されているような孤独感・不安・虚無感を掻き立てられる。それでも、茫漠としたブルーの向こうに自分以外の誰かが待っているような一筋の希望が感じられる。
 
 電車の窓から真夏の青空を眺めながらこの曲を聴いていると、心が溶け出していくような堪らない気分に何度もなった。

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そんなわけで2017年も9月になり、今頃かよ!! というタイミングなんだけど記事としてまとめることができた。テキスト自体は年明けからチマチマ書き始めていて、温め続けてたらこんな時期になった。

イムリーに書くようにしたい。