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好きな映画、音楽について

【ガールズ&パンツァー劇場版】遊園地で戦うことの意味

ガルパン劇場版は2016年、劇場で4回観た。

本当に好きな作品なので気づいたことを記録しておきたい。

 

キャラクターの愛くるしさとか戦闘シーンの音響の迫力とかいろいろ語るポイントがあるけど、何よりも、エンディングのイントロが流れ始めるときの夕焼け空のカットがめちゃくちゃ好きだ。 毎回泣く。

 

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 (↑このシーンの来場者特典フィルムがヤフオクに出てた)

 

茜色の夕焼け空がゆっくりと紫色を帯びていくこのカットで、ブッ壊された観覧車を数秒間見つめ続けていると、ストーリーに「帰る場所を奪還する」という超シンプルでアツい筋が通っていることに改めて気づかされる。得も言われぬエモさを感じる。

 

これは夕焼け空そのものが (日本むかしばなしのエンディングにあるように)日が暮れたから家に帰ろうという気分にさせるものであって、帰る家があること = 学園艦が解体から救えたことが印象付けられるからだと思う。でも、そこに壊された観覧車が一緒に写っていることで、戦場が遊園地だったことの意義にも気づかされた。

 

遊園地/テーマパークは、家族で行くにせよデートで行くにせよバイト仲間と行くにせよ、「非日常」を楽しむ場の象徴だと思う。この映画ではそんな場所を戦車で戦うフィールドにして、いろんなアトラクションを壊しまくっていった。
 
試合としては相手の戦車を1台残らず撃破すれば勝てるのであって、遊園地の施設は意図して壊されていったわけではない。バトルを派手で面白く見せるための演出にすぎないという見方もできる。しかしよく考えると、「非日常空間をブッ壊す」ことは字義的に裏を返せば「日常を回復させる」ということであり、それはこの作品の文脈では学校を取り戻すこと・学園艦を救うことに他ならない。
  
だから観覧車を回転台から撃ち落として転がる質量兵器にしてしまうのも、
ハリボテの西部劇セットに車体で突っ込んでそのまま破り抜けるのも、
振り子状に迫ってくる海賊船に戦車が正面衝突するのも、
ひとつひとつが主人公たちの「試合に勝って学園艦に帰ろう!!」という想いが成就に向かっていく過程を暗黙的に描いたシーンだったんじゃないか。

 

エンディングが始まるカットの静止した観覧車は、その想いが激闘の末にちゃんと叶ったことの象徴として夕焼けの中で佇んでいる。
「試合に勝って、学園を解体から救う」というストーリーが、シンプルだからこそめちゃくちゃ熱くて力強かったなぁという感慨に浸らせてくれる情景だ。だから毎回泣いてしまうんだ。