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好きな映画、音楽について

【レディ・プレイヤー1】Twitterの先の拡張世界、絵の中のメカゴジラ、同じ大地の上のガンダム。

レディ・プレイヤー1

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これ本当に凄い映画だよ。観た後の満足感・喜び・嬉しさがずっとずっと持続する感じがたまらない。版権キャラがたくさん出てきてそれだけで「‼︎」ってなる瞬間の連続だった。

 

本作で描かれてるOasis: 仮想現実世界って、自分にとってのTwitterを中心としたネットの楽しみ方の延長線上に想像力を広げてくれるような感じが良かった。という話をまずしたい。

 

【以後、作品シナリオの核心に触れています】

 

Twitterにおいて、自分がリアルで会ったことは無いけど共通の趣味・話題を持つ人を何人もフォローしてる前提の話。例えば自分がフォローしてる人にオオサンショウウオのイラストをアイコンにした音楽ファンがいたとする。

 

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 7月。オオサンショウウオ氏が「フジロック2日目。そろそろテントから出る」と呟いていたとする。それを見ると自分の頭の中では、上記のアイコンの姿のオオサンショウウオがテントから ズズズズズズズズ…… って這い出して行く光景が浮かぶんだよね。その人が実際はどんな顔してるのかイメージしきれないから、アイコンの姿でそのまま動いてるところを想像しちゃう。

 

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そして他にフォローしてる人でテディベアのアイコンの人が「今日はダフト・パンク楽しみですねー」とオオサンショウウオにリプライを送ったりしてると、僕の頭の中ではオオサンショウウオとテディベアがオオサンショウウオとテディベアの姿でビール飲んだりしながら「フジロックTL」という仮想空間を謳歌してる姿が脳裏に浮かぶんだ。で、オオサンショウウオとテディベアの中の人同士は意外と近場に住んでる同士だったりして。

 

この感じって既に、Oasisのようなアバター世界に感覚的には近いんじゃないかと思う。(今は僕の頭の中の勝手なイメージとはいえ)想像力が拡張する仮想世界で、一人ひとりが、その人が選んだ好きな姿で生活しているんだから。

 

だからOasisは人間を取り巻くネット環境の位置付けという意味では2018年の現実感と地続きの場所だと捉えている。本作では「ネットにばかり入れ込んでないで現実と向き合いなさいよー」みたいな使い古された説教臭いメッセージを発するのではなく、ネットだけの付き合いのつもりだった友人と勇気を出して行動を起こすことで、リアルの地平がこれまでにないカラフルな世界として拓けて行く。そういう現象が、多分今では現実世界でもTwitterのあちこちで起こっているんじゃないか。ネット上の付き合いには良いことも悪いこともそりゃあるんだろうけど、テクノロジーそのものに善・悪があるのではなく、自分が活きる現実世界をより良くするためにテクノロジーの力を他者と一緒に引き出せる人間が幸福な未来に辿り着ける。そんな希望が感じられる映画だった。

 

なんかいらすとや素材の使用によりめっちゃくちゃゆるい感じになったんだけど、ここからガンダム vs メカゴジラのシーンの話に移る。ゴジラファンかつガノタな男子の本領発揮だ!!

 

今回登場したガンダムメカゴジラも、それぞれ何通りものバージョンがあるメカで、その中で敢えて本作用に選ばれたデザインはなんだったのか について。

 
▪️1993年のメカゴジラ

メカゴジラという機体には1974年の「ゴジラ対メカゴジラ」版に始まり「Gフォース版 (1993)」「3式機龍 (2002、2003)」「アニメ版 (2018)」などのバージョンがある*1

 

それぞれのデザインはかなり異なる。今回レディ・プレイヤー1で登場したのは、1993年の「ゴジラ vs メカゴジラ (以下、「vsメカゴジラ」と表記する)」用のポスターに描かれたバージョンに近いデザインだった。「ポスターに描かれた」というのが重要で、vsメカゴジラ本編に登場した機体とは若干デザインが異なっている。言わばコンセプトアート版がポスターに登場していた。こんな感じの超シブカッコいいやつ。

 

 

このポスターバージョンの機体がいつか何らかの形で映像化されたら、スタイリッシュかつ無骨で絶対カッコいいだろうなぁって思っていた。それが今回、スクリーンで大暴れしてくれた。

1993年12月に公開された「vsメカゴジラ」は、同年の夏に公開されて大ヒットした「ジュラシック・パーク」を受けて「恐竜映画ではなく、最高の怪獣映画を目指す」という意気込みで作られた作品だった。実際改めてvsメカゴジラをレンタルで観てみたら、CGに頼らず特撮で表現されたゴジラの表情や戦闘シーンの迫力、格納庫から出撃するメカゴジラの威容は圧巻だった。そこから25年経った今年、T-REXメカゴジラも盛り込んだ「最高のエンタメ映画」をスピルバーグは作り出した。そんな風に、製作側がお互いにモチベーションを受け合っていくのってめちゃくちゃ熱くてイイよね。

 

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▪️台場に立ったガンダム

元々ガンダムのデザインというのは、武士が身につける鎧兜と甲冑をイメージしてモビルスーツのラインにフィットさせたものである。だからトシロウくんのアバターである鎧武者「ダイトウ」が変身し、身体性を拡張させた姿としてこの上なく自然だ。ビームライフルを使わずにビームサーベルだけでメカゴジラに挑んでいったのも日本刀を仮想的に拡大した武器で戦っているということで納得感抜群。

 

レディプレ劇中のガンダムは、右肩に「EFSF」左肩に「WB」というロゴが入っている(それぞれ「Earth Federation Space Force (=地球連邦軍)」「ホワイトベース」のこと)。このロゴマークの組み合わせってなんかのゲーム版を参考にしてるのかなと思って確認してみたら、答えは2009年にお台場に立った等身大ガンダムだった。

 

gigazine.net

 

この等身大立像にも右肩に「EFSF」、左肩に「WB」ロゴのマーキングが施されている。 僕も大学2年生の夏休み、東京でガンダム立像を観に行ったのを思い出した。翌年、東静岡駅前で展示されたので実家 (沼津)に帰るついでに観たっけな。そのときの写真。

 

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Oasisの戦闘で起動したガンダムは、スーパーマンの如くビュンビュン飛び回るヒーローだった。だけど肩には、かつて自分の目の前に立っていた等身大ガンダムと同じマーキングが施されている。あの時、自分と同じ大地の上に居たガンダムOasisで自由に飛べる機体として生まれ変わったような、アツい気持ちが心の中で沸き起こるような感じがする。

 

▪️激突する両雄とキャラクターの末路

そんな風にリアルな世界に実在した等身大ガンダムとの繋がりを持つトシロウ・ガンダムと共闘した主人公は、イースターエッグを手にしてハリデーに会い「リアルだけがリアルなのだ」という言葉に触れる。

 

一方、ポスターの中にだけ存在したメカゴジラを選んだソレントの野望は打ち砕かれ、彼の目論見は絵に描いた餅となってしまい現実のものとはならない。

 

こじつけみたいだけど、各機体のデザインの出所はそんな風に登場人物の末路ともリンクする。

 

……なんかメカゴジラはリアルなやつじゃなかったから まがい物でイカンという論調に取られてしまいそうだけどそんなことは決してなくて、絵の中にしか存在しなかった機体にあんなにカッコよく命を与えてくれる本作は改めて良かったなぁって思うんだよ。あのメカゴジラ起動シーンのカッコ良さといったらない。背骨からブワワワワワーッってさ。


改めて、本当に凄い映画だよ。

 

*1:

((メカゴジラについてはこの動画の解説がとても詳しい。


ゴジラ怪獣をゆっくり解説しようと思い立ってみる 第九回前篇

 

この「ゴジラ怪獣をゆっくり解説しようと思い立ってみる」シリーズは独特なノリとBGM編集が面白いので興味を持ったら最初から観るのがオススメ。

 


ゴジラ ゆっくり紹介 序章