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【LITTLE WOMEN】グレタ・ガーウィグ版若草物語 (2020)のこと

「ストーリーオブ・マイ・ライフ/わたしの若草物語」を6/14と6/24の2回、映画館で観た。原作の小説は読んでいなくて、1949年の映画「若草物語」を予習として観てから臨んだ本作についてメモ。

- 以下、ストーリーの核心に触れている場合があります。 -

 

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1949年版から追加されている要素はいろいろあるけれど、とりわけ終盤で、ジョーの書いた物語が実際に本として構築されていく場面がとっても良かった。

 

昔ならではの活版印刷の工程がテンポ良く映像化されているのだけど、活字を1つ1つ使って組み版を構成していく描写によって、1文字1文字に物理的に重さがあることを視覚的に伝えていて、自分の本を出版することが如何に希有であるかが伝わってきた。

 

さらに印刷後の折りたたまれた紙を挟んてぎゅーっと圧縮するところで、この本の中にジョーの人生がぎゅっーと詰まっていることが視覚的に表現されたように思えてそれがとても愛おしかった。当初は「身内の話なんてだれが面白がるのかしら」とジョー自信が姉妹に語っていたその物語が出版物として具現化された事実が讃えられているような、スカッとする映像だった。


現代の世の中では、リアリティーショーであれソーシャルメディアであれ、他人の人生をコンテンツとして簡単に消費できてしまう。それでスポットライトが当たる人もいれば、謂れのない誹謗中傷に晒される人もいる。

 

一方、この映画の最後に本が出来上がっていき、赤字に金色のタイトルが映えるシーンを見て、ある人の人生を物語として世に出すことは、元々はすごく丁寧なプロセスを積み重ねた先にある、誉れある営みだったことを改めて実感させられた。